キリスト者の完全  

24.1761年「完全の証人」ジェイン・クーパーの記録


この年の終わり頃、神は燃えて輝く光であるジェイン・クーパーをご自身のもとに召された。 
彼女は生きるにも死ぬにもキリスト者の完全の証人であったので、彼女の魂の中に大きな変
化の業をなされた神を喜んでいる様子が、明確かつありのままにその中に記されている彼女
自身の手紙の一つを添えて、彼女の死についての短い解説をここに加えても全く不思議では
ないであろう。                      1761年5月2日
「私の記憶が残っている限り喜びが続くと私は思います。あなたがガラテヤ人への手紙5章5
節から説教された時以来、私の魂の真の状態が私にはっきり分かりました。あの説教は私の
心に、何を望むべきか、つまり真の幸福とは何であるかを示しました。あなたはM氏の手紙を
読まれましたが、それに私が望んでいた宗教が書かれていました。そのときから決勝点(賞)
が見えるようになり、それを熱心に追い求める力を与えられました。
私はしばしば非常な苦しみの中で、また他の時には忍耐深く恵を期待しつつ、祈り待ち望みま
した。あなたがロンドンを発つ何日か前から、祈りのうちに私に適用されるみことばとして、「あ
なたが捜し求めている主は、突然その神殿にやって来られる。」という約束のうちに私の魂はと
どまっていました。私は主はおいでになる、そして潔め主の火としてそこにとどまられると信じま
した。 
あなたが出発された次の火曜日に、私は主が主のまことのことばを満たしてくださるまでは眠
れないと思いました。そのときほど「静まって、わたしが神であると知れ」とのみことばの力を感
じたことはありません。私は主の前に無となりました。そして私の魂は全き平安を楽しみまし
た。 
私は私の罪の性質が破壊されたかどうか分かりませんでしたが、主を褒め称えていることを望
んでいました。やがてまもなく私に不信仰が戻ってきて、うめき、重荷を負っている自分を見出
しました。 
水曜日に私はロンドンに行き、休むことなく主を捜し求めました。私は、もし主が私を罪の性質
から救ってくださるなら、主を褒め称えますとお約束しました。私は凡てのことから離れ、キリス
トを勝ち取ろうとしました。しかし私はこれらすべての物事には何の価値もなく、主が私を救っ
てくださるなら彼のみ名の故に自由にされるに違いないことが分かりました。 
木曜日に、私は私自身を滅ぼそうとしているあるいは神の人々とこれ以上決して会話をしない
と考えて、私は非常に試みられました。けれども私は主の赦しの愛には決して疑いをはさみま
せんでしたし、「私の神を愛するためには死ぬ価値がある、私の神お一人でなく。」と思いまし
た。 
金曜日に私の悩みは更に深くなりました。私は熱心に祈ろうとしましたが出来ませんでした。 
私は私のために祈って下さっており、生まれつきの性質が死ぬのですと私に語ったD.夫人のと
ころに行きました。私は聖書を開きましたが、そこに「恐れる者と信じない者たちは火と硫黄の
池が彼らの分け前である。」とありました。私はそれに耐えられませんでした。 
私は再び聖書を開きましたが、マルコの福音書16章6、7節に「恐れるな。あなたがたはナザ
レのイエスを捜している。あなたがたの道をゆけ。彼はあなたがたより先にガリラヤにゆかれ
る、そこで彼はあなたがたにお会いになるであろうと、弟子たちに語った。」とありました。 
私は勇気付けられました。そしてくつろいでイエスにお会いできることを信じ、祈ることができま
した。
その夜私は家に戻り、G夫人に会いました。彼女は私のために祈ってくれました。予定論者は
この喜びを得ることはなく「主よ、あなたは人を偏り見ることをなさいません。」というしかないで
しょう。 
彼は私を祝福することによって、偏見をもたれるようなお方でないことを証しされました。その
瞬間、私はイエス・キリストに私自身をお委ねし、単純な信仰による救いを見出しました。主、
私の王、主は私を保証され、私の真中に居られ、もはや悪いものを私の中に見出しません。
今、私は私を贖い私のところに来てくださり、私の「知恵、義、聖、贖い」となってくださった主を
褒め称えています。
私は愛をもってイエスにお会いし、彼はいかなる働き場におられても常に私を覚えておられる
ことが分かりました。そして主に栄光がありますように。主は今邪魔するものなく私の心を治め
ておられます。私は彼以外の意志を見出しません。私は誇りのみならず彼が置かれたもの以
外に愛着を感じません。 
私は私が信仰によって立っていることを知っています。そして信仰の盾として祈りを怠りませ
ん。私はこの瞬間神にあって幸せです。そして次の瞬間もそうであると信じています。 
私はしばしばあなたが示された章(コリントT 13章)を読み、私の心とそれに付随する人生を
比較しています。そのようにしている中に、私は私の欠けたところと、そのための贖いの血の
必要を感じます。私は私があるべき姿に完全になっているわけではありませんが、そこに記さ
れている愛をある程度感じないとは、必ずしも申し上げられません。私は「はかり知ることので
きない愛」のうちに落ちいることを望みます。そしてこの恵みを受けたすべての聖徒たちのもっ
とも小さい方よりも小さい私にも「正しい人は信仰によって生きる」ということが分かりました。も
し私が天使長だったとしても、私は主の前で自分の顔を覆い、彼をほめたたえて沈黙するでし
ょう。 

以下の記述は彼女と親しい関係にあったある人物が見聞きした証言である。 
(1)十一月の初め、彼女は自分の身に起きてくることについての予見を与えられたようであっ
て、頻繁に次の歌詞の讃美をした。
・・・「この弱い肉体を痛みが支配するとき、 
   子羊のような忍耐をもって私の胸を 
   武装させてください。」 
そして彼女が自分が病気であることを私に知らせる手紙を書いたとき、彼女はその手紙にこう
記した。
「私はイエスのみこころにお委ねしています。彼がお与えになるものごとすべては、彼の愛によ
って甘く味付けられています。私は「私の兄たちは私を待ち受け、天使たちは私をまねき、イエ
スは私に来れとお命じになる!」と語られる声を聞いたときと同じように幸福です。 
 (2)私が彼女に「私はあなたを生かすことも死なせることもできません。」と話したことに対し
て、彼女はこう言いました。「私は主にお求めしました。もしも主のみこころでしたら、私が先に
死ぬことができますように。」さらに主は私にこう言われました。「あなたは私より長く生き、私の
目を閉じてくれるであろう。」 
私たちにそれが天然痘であると分かった時、私は彼女に言いました。「ねえ。私があなたの病
気が何か告げても驚かないでね。」 
彼女は言いました。「主のみこころですから驚きませんわ。」 
(3)彼女の伝染病は非常に重いものでしたが、重ければ重いほど彼女の信仰も強められまし
た。
十一月十六日火曜日に、彼女は私に言いました。「私の魂が神のもとに入れられ、栄光の姿
でみ座の前で礼拝していました。」私は言いました。「主はあなたに何か特別なお約束をお与え
になりましたか?」「いいえ。」と彼女は答えました。「動かされることのない聖なる威厳、天の愛
の静寂こそすべて。」
(4)木曜日に、「何か私に仰りたいことがありますか?」との私の質問に対して彼女はこう言い
ました。「いいえ。なにもありません。だがあなたが既にご存知のとおり、神は愛です。」
私は訊ねた。「何か特別なお約束をいただけましたか?」彼女は答えました。「私は何も欲しく
ありません。私は腫物の塊になって死ぬ以外に生きることができません。しかしすべての栄光
をもってあなたにお会いするでしょう。そしてそれまであなたの霊と友でありつづけるでしょう。」
(5)M氏が、歩み入るべき最も優れた道とその主な障害は何かについて彼女の考えを問いまし
た。
彼女は答えました。「普通の生まれつきの性格からくるものが最大の障害です。それは、大変
静かに、非常に辛抱強く、語ること少なく、私のものとして備えられました。ある人々はもっと優
れた道を、またある人々は他の道を考えます。しかしそれは神のみこころに生きることに尽き
ます。何ヶ月か過ぎて、私がこのことのために特に祈っていた時、私は主の御霊の次のような
導きを感じました。そして私が聖なるお方から頂いた油注ぎは、私にすべてのことを教え、この
聖別の教えのとおりに私を救ってくださったことを、私は誰からも教えられる必要がありません
でした。
(6)金曜日の朝彼女は言いました。「私は死ぬでしょう。」それから起きてベッドに座り、こう言い
ました。「主よ。私はあなたを褒め称えます。あなたはとこしえに私と共におられ、あなたのすべ
ては私のものです。あなたの愛は私の弱さよりも大きく、私の無力さよりも大きく、私の無価値
さよりも偉大です。主よ。あなたは朽ちるもの(私)に向かってこう言われます。汝は我が姉妹
なり!と。そしてあなたに栄光あれ。おゝ、主よ。あなたは私の兄弟であられます。私に悟らせ
てください。全ての聖徒たちと共に、あなたの愛の長さ、広さ、深さ、高さがいかばかりであるか
を! 
この方々を祝福し、(幾人かがそこにいた)「彼らをあなたの御心のとおりになし、彼らを毎瞬す
べての物事のなかに働かせてください。」 
 (7)数時間後、彼女に正しく死の苦しみがおきてきたように見えましたが、彼女の顔は勝利の
微笑みに満ち、彼女は喜びに手を叩きました。 
C夫人が言いました。「いとしい方、あなたは子羊の血によって勝利者にも勝ります。」 
彼女は答えました。「はい。そのとおりです。愛するイエスよ。! おゝ、死よ、おまえの刺はど
こにあるのか?」 
彼女はそれからしばらくの間眠ったように横たわっていました。その後彼女は話そうと努力しま
したができませんでした。しかしながら彼女はその部屋にいるすべての人の手を握って彼女の
愛を示しました。
(8)そのときW氏が来ました。彼女は言いました。「先生。私は生きているうちにあなたにお会
いできるとは思いませんでした。しかし私は主がこの機会を私に与え、その上あなたと話をす
る力も与えてくださったことを喜んでいます。私はあなたを愛しております。あなたは「常に厳格
な教えを説教されました。そしてわたくしはそれが好きでした。誰かがそれを喜んでも喜ばなく
てもあなたはいつもそうしてください。」 
彼は訊ねました。「あなたは今罪の性質から救われていると信じますか?」 
彼女は答えました。「はい。私はここ何ヶ月も疑いをもっておりませんでした。私は以前は信仰
のうちに住んでいなかったのでそれを持っておりませんでした。今私は信仰を保ち、全き愛は
すべての恐れを除いたことを感じています。あなたにと同じに、主はわたくしにも約束してくださ
いました。わたくしはこの目でそれを見ることはできませんが、あなたのこれからの働きはこれ
までの働きに優ることでしょう。私はこの六ヶ月間、文字通り強い熱狂者のようでした。私の人
生で、キリストの心にそんなに近く生きたことはありませんでした。先生。あなたが一途に魂を
愛しておられることによって、何百人もの心を慰めることが出来ますように。」 
(9)彼女の祈りによって神の愛を受けた人に、彼女は言いました。
「私は巧みに造られたおとぎ話に従ったのではないと感じています。なぜなら私は私が生きて
いるのと同じくらい幸せですから。どうか、励み努めて、目標を達成するまで止めないでくださ
いね。」 
M夫人に・・-彼女は言いました。「キリストをお愛しなさい。彼はあなたを愛しておられますか
ら。私は神の右側であなたにまたお会いすると信じています。しかし栄光の中である星が他の
星から離れているように、よみがえりの時もそうであるでしょう。私は神のご臨在の中にあなた
をお委ねします。かの日すべての栄光の中で私に会ってください。この世に倣うことはすべて
避けてください。
さもないと、あなたは多くの特権を奪われてしまいます。私は責められるところのないものとさ
れて聖前に立つことを知っています。平安で、汚れなく主の聖前に立てるよう、お働きくださ
い。 
(10)土曜日の朝、彼女はだいたい次のように祈りました。 
「主よ。私は存じております。私の命はあなたのみこころをなすための延ばされるていること
を。そして私はもはや食べることも飲むこともできませんけれど。」
(彼女はもう約28時間も何も飲み込むことができませんでした。)
「あなたの御心がなされますように。私は12ヶ月でもよろこんでそれを保ちます。人はパンの
みで生きるのではありません。私は私の道に不満の影もないことをもってあなたをほめたたえ
ます。その意味で私たちは病の意味を存じません。事実主よ。生きるにも死ぬにも、あるいは
現在もこれから来ることも、いかなる被造物も、私たちをあなたの愛から引き離すことは瞬時
たりともできません。彼らを祝福してください。彼らの魂に欠けのないことをもって。私は彼等に
欠けがないことを信じています。私は信仰によって祈ります。」 
日曜日と月曜日、彼女は意識を失っていましたが、ときどき意識が戻りました。それから彼女
の心がいまだ天にあることが、明確に現れました。 
ある人が彼女に言いました。「イエスは私たちの目標です。」 
彼女は答えました。「私はただひとつの目標をもっています。それは私が全部霊的であることで
す。」 
M嬢が彼女に言いました。「あなたは神のうちに住んでおられますね。」 
彼女は答えました。「皆さんと一緒にそうです。」 
ある人が彼女に問いました。「私を愛しておられますか?」 
彼女は言いました。「おゝ。私はキリストを愛しております。私のキリストを愛しています。」 
他の人に向かって彼女は「私はここに長くはいないでしょう。イエスは貴いおかたです。事実非
常に貴いお方です。」と言いました。 
彼女はM嬢に言いました。「主は大変よいお方です。彼が私の魂の全てを保ってくださっていま
す。」 
彼女が死ぬ15時間前に、彼女にはひどい痙攣が起きました。彼女の苦しみは極限に達しまし
た。 あるものが言いました。「あなたは苦しみをまっとうしておられる。」 
彼女は言いました。「もっと、もっとでもそうです。」 
しばらく静かに横たわっていた後、彼女は言いました。「主よ。あなたはお強いお方です!」
それから長い間をおいてから、彼女は最後のことばを述べました。「わたくしのイエスは私のす
べてです。彼に今も永久えまでも栄えあれ。」 
この後、彼女は30分ほど横たわっていましたが、ため息もうめきもなく息絶えました。 



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