序文


 これらの説教はまだ語られたことがないが、これは説教集である。
私は、年をとるにつれて、今語ることができる以上の説教を作り上げることができるだろうと思
っている。私の説教集「イエスの品性」が約15年前に世に出て以来、いつかその姉妹編「パウ
ロの品性」を刊行したいとの思いを持っていた。
30年以上にわたり、パウロは私の大好きな英雄であった。その間ずっと、私はほとんど常に
彼と共に生きてきた。13年間連続して、私は夏のあいだパウロの手紙のひとつを私の特別な
研究として行うことを課題としてきた。私の休暇の数ヶ月間、彼は日々私の友であった。私はそ
の手紙を繰り返し読んだ。
私は手紙中に私が見いだしうる限りのすべての価値あるものを読み取り、そこに含まれている
ことを黙想し、それが暗示している問題をじっくり考え、それを書いた人と精神を通わせ、その
上に説教を準備した。そして最後に私の助手の人々の翌年の彼らの研究のために100の質
問リストを作成した。
この方法によってパウロは私にとってより生きた人物となった。
私はかつて生きていた他の誰のことよりも彼のことを知っていると感じている。
私は1916年にこれらの章を書き始めたが、大きな戦争にその進みを妨げられて、今日まで
私の目的を達成することができなかった。
今とうとう私が何年にもわたり心の内に横たえてきた素材に形を与えた。
私は説教者たちのために、彼らが自分の聴衆にもっと頻繁にパウロを語ることをうながされる
ように、そして同様に平信徒たちのために彼らがパウロの研究を彼ら自身ができるよう勇気づ
けるため、そして彼らのうちに失せることのない力と喜びの泉を見いだすことができるためにこ
れを書いた。
                              1923年 9月 1日








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